2011年05月12日
危機管理

静岡のこれからを新市長がどうお話されるのか。
聞いてきます。
以下、防備録
***
「危機に強い人育てよ」 政策研究大学院大学 黒川 清
―原発事故は日本の科学技術への信頼を揺るがせた。
■ 日本の科学技術は1995年の阪神大震災のころから揺らいでいた。阪神の前年に米カリフォルニア州で起きた地震で高速道路が倒れ、それをみた日本の専門家は「日本では起きない」と言った。1年後に阪神高速が倒壊したが、その原因は手抜き工事だった。モノをつくる現場力はあっても、公共工事をめぐる政産官のトライアングルが品質を損なわせた。そうした例はたくさんある。
■ 日本の高度成長を支えたのは大学卒のエリート技術者ではなかった。工業専門学校などを出て現場の血と汗と涙を知る人たちだ。頭でっかちで挫折の経験のない大卒の技術者が増えて日本の技術力はじわじわ弱まっていたのだが、成長がそれを覆い隠してきた。
―大震災と原発事故への対応でも問題点は多い。
■ 日本の強みと弱みが明らかになった。現場には力が有るが、組織の中堅以上のマネジメント能力が欠けている。東京電力だけではない。中央官庁もそうであることがあらわになった。
■ 相にも変わらず、年功序列で単線のキャリアコースの中で危機に対処できる人材が育っていない。実力のある人間が出世せず、リスクをとらない人間が偉くなる。20年以上前から指摘されてきたが、何も変わっていないことが改めてわかった。事故への対応のまずさで日本の国際的な信用はがた落ちだ。
―信用回復には何が必要か。
■ 政府が国際的な調査委員会を組織し、東電や原子力安全・保安院はそこにすべてのデータを提出し、国際委が事故を分析し公表することだ。外国人が1、2人加わるのではなく海外の専門家が多数を占める必要がある。日本人が多数の委員会では隠し事をすると疑いの目でみられる。
■ 原子力の利用を続ける世界の国々は、今回の事故から多くのことを学べると考えている。その機会を日本が提供し失敗をチャンスに変えることができる。
―原発事故対応ではほかに何が欠けているのか。
■ 人間への配慮が欠けている。政府は周辺の住民の健康に影響するデータを出さないし、住民の被爆(ひばく)状況のモニタリングもしていない。海洋汚染も国際社会の信用を失わせた。海に汚染水を捨てても薄まって大きな影響はないかもしれないが、きちんと追跡調査して周辺国が受ける影響を調べ公表する必要がある。
―科学者らの発信力も弱く、事故対策で日本の英知を結集する形になかなかならない。
■ 日本の大学は文部科学省の下部機構にすぎない。政府の取り組みに意見を言える人は少ない。日本の科学者は自分の研究分野では優れている人も多いが、そこしかわからないという狭い視野しか持ってこなかった。それでよいと長年思ってきた。社会と積極的にかかわろうとしない。知的なレベルが高い人ほど頭の中は「鎖国状態」だ。
―どうすれば変わるのか。
■ 若い人が目上の人たちを追い出すしかない。若者も単にインターネットで得た知識を披瀝(ひれき)するのではなく、ネットを使って自分たちがどう社会を変えられるか真剣に考えるべき時だ。
(聞き手は編集委員 滝順一)
日本経済新聞 2011年5月9日(月)朝刊11面より
Posted by かすがの at 07:52│Comments(2)
│市民発想
この記事へのコメント
黒川です。紹介ありがとう。Washington DC- St Gallen, Swiss, と5日でまわり、いまからHeathrow経由で帰国です。Zurich airportから。若い人たちしっかりして欲しいですね。
Posted by kiyoshikurokawa at 2011年05月13日 21:10
黒川先生、
ワールドワイドで世界を飛び回っている先生には、
今の日本がこうみえるんですね。
危機管理とは、最悪を想定し、それを回避すること。
今の日本に突きつけられている言葉。
それを実行できるのは、若い世代だと信じます。
ワールドワイドで世界を飛び回っている先生には、
今の日本がこうみえるんですね。
危機管理とは、最悪を想定し、それを回避すること。
今の日本に突きつけられている言葉。
それを実行できるのは、若い世代だと信じます。
Posted by かすがの
at 2011年05月13日 22:02
